渡辺前オーナーの発言の裏を読んでみる

オーナー辞任後、あまり表舞台に出ることの無かった渡辺前オーナーですが、久しぶりにコメントを発表したようです。

渡辺前オーナー「2リーグ制がいい」(スポーツニッポン
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20040828&a=20040828-00000002-spn-spo

表向きソフトな語り口ですが、その裏には今後の球界の動向が見え隠れしているような気がします。

ということで、ちょっと発言の裏を読んでみることにしました。

まずこの発言

・・・、交流試合を入れた新しい2リーグ制だ。5対5の2リーグ。これでやる、と確固とした考えで、7月の頃から各方面を説得している。

セリーグ6、パリーグ4になっても1リーグには移行せず、5対5の2リーグで行くという発言。セリーグの1球団がパリーグに移籍してバランスを取る、ということみたいです。で、どこの球団が移るかということなんですが、この記事では巨人のパリーグ移籍が濃厚、としています。

これはかなり狡猾なやり方のような気がします。巨人を除くセリーグ5球団が1リーグに反対しているのは、それによって対巨人戦が減少し、収入が減少するからであることは明らかです。いくら2リーグ制が維持されても、セリーグから巨人がいなくなってしまえば意味がありません。もし、渡辺氏の言う2リーグ制が実施されれば、早々にセリーグ5球団は音を上げ、1リーグ移行を申し出ることになるでしょうね。で、最終的には1リーグになると。

正直、この発言は、球界再編に消極的なセリーグ各球団に脅しをかけているように受け取れます。「1リーグがいやならそれでもいいよ。もし2リーグなら巨人はパに行くから」。そんなことされたら、セリーグ5球団はたまったもんじゃありません。2リーグ維持を主張してきた意味がなくなってしまいます。「巨人と一緒にやりたければ1リーグ制を承認しなよ」。そういう渡辺氏の本音がこの発言から見えてくるような気がします。

もう一つ、面白い発言が。パリーグのもう一組の合併についてです。

その上、球界再編の現状に言及。「まだロッテとホークスの話が進んでないから分からん」とダイエー本社が産業再生機構の活用を拒み続けていることから、ロッテとの合併も見通しが立たない状況であることを強調した。

正直、これは失言の類じゃないでしょうか。パのもう一組の合併はロッテとダイエーであると暗に言っちゃってます。もっとも、今までの発言を見る限り、ダイエー自身は合併に消極的なようです。また、記事の中には再生機構の活用を拒んでいるために合併の見通しが立たない、見たいな事が書いてありますが、仮に再生機構活用が決定しても、ダイエー球団の売却が決定するとは限りません。記事にあるとおり、この二組の合併は不確定要素が大きすぎて先がまったく見えません。

ということで、渡辺氏の発言の裏を読んでみました。渡辺氏は表向き自分は2リーグ制論者だといっていますが、彼の言う5+5の2リーグでセリーグが維持できるとは思えませんし、その程度のことが分からない渡辺氏ではないでしょう。本音は1リーグなんだけれども、ちょっと風向きが悪いのでいったん仕切りなおしをしよう、そんなところなんじゃないでしょうか。