FTA交渉が難航

日本とタイのFTA交渉ですが、難航しているようです。

コメの関税撤廃要求で難航=年内合意に疑問視も−日タイFTA交渉時事通信

タイ側がコメの関税撤廃を要求。しかし、これを日本側が承諾することは難しく、交渉が難航しているようです。

コメ不足の際に輸入されたタイ米は、日本食に合わなかったせいもあり正直な所不評でした。タイ米は長粒種で、日本でわれわれが食べている短粒種のお米とは種類が違うんですよね。でも、日本食に使わなければ日本人にも受け入れられる可能性があります。エスニック料理などに使う分には、日本人にも受け入れられるかも。

また、タイで日本人の口にも合う品種のコメを生産すれば、日本人にも受け入れられるかもしれません。

コメはタイの主要な産業ですから、FTA締結の際にこれを自由化したいと考えるのは当然でしょう。しかし、タイからの輸入を自由化してしまえば、国際競争力のまったくない日本の稲作は大打撃を受ける可能性があります。

FTA交渉では、この農業問題がネックとなって交渉が難航するケースが多く見られます。農業は工業製品と異なり食料安全保障の問題も絡んでくるため、単に「安けりゃいいだろう」では済まない部分があります。よって、日本のような工業国でも農業の自由化には難色を示すケースが多くなります。

もちろん、日本が農業問題で強硬な姿勢をとるのは、現政権の票田が農村部だからってのもあるんですけどね。BSE問題なんか、その際たるものですよねぇ。「アメリカの言いなり」なんていわれることのある日本ですが、アメリカ産牛肉の輸入再開には強硬に反対しています。日本は、ほかの問題はともかく、農業問題に関してはかなり強硬な態度をとる傾向が強いですね。

おっとっと、話がそれた。

で、こういう日本の態度は、農業国からしてみればきわめて「アンフェア」な態度に写るわけです。日本は自分の得意な工業製品をガンガン輸出してくるのに、農業国の得意分野である農産物の輸入は制限する。農業国としては面白くないですよね。

タイとしてはこのFTA交渉でなんとしてもコメの自由化を日本に認めさせたい所でしょう。しかし、日本としてはそれは出来ない。それをやってしまったら、農村部から猛烈な反発が出ること必至です。

この交渉、決裂するんじゃないでしょうかね。まあ、今のままでは、日本と農業国とのFTAは無理でしょう。それが日本経済にとってどれくらいマイナスになるか分かりませんが。

本当は、日本の農業が「外国産農産物、何するものぞ!」ってくらいの気概でがんばってくれるのが一番いいんですけどね。コスト面で外国と競争するのは厳しいでしょうが、品質面では外国産のものに勝るものが作れるはず。

有機無農薬栽培などの高付加価値農産物に特化すれば、十分やっていけると思うんだけどなぁ。そういう野菜はすごく人気があるわけだし。