盲導犬

視覚障害の方の目となり、道案内や危険回避の手助けをする盲導犬。最近では、盲導犬を題材にしたドラマも放映されるなど、かなり一般の人にも認知されてきています。しかし、まだまだその理解は不十分のようです。

過半数の店で盲導犬、拒否 補助犬法の完全施行後も共同通信

日本盲導犬協会(東京都渋谷区、井上幸彦理事長)が盲導犬使用者を対象にした調査で、身体障害者補助犬法が完全施行された昨年10月以降、約半数の52%が飲食店などで盲導犬の同伴を拒否された経験があることが28日、分かった。

飲食店は衛生管理に敏感にならざるを得ないですから、犬を店内に入れるのに抵抗があるのはある程度理解できます。しかし、盲導犬利用者の方は、常に盲導犬を清潔に保ったり、毛が落ちない様に服を着せたり、マットを敷くなどいろいろ気を使っているそうです。ですから、あまり過敏になる必要も無いのではないでしょうか*1

あと、「他のお客が嫌がる」という意見。ま、世の中には犬嫌いの人や犬が怖い人もいますからねえ。こういう意見が出てしまうのも理解は出来ます。

しかし、こういう意見が出てしまうのは、やはり盲導犬に対する理解が不十分であることが原因だと思います。

盲導犬はペットではありません。彼らに施された訓練は、その辺の「賢いワンちゃん」とは比べ物にならないくらい高レベルのものです。盲導犬が人に危害を加えることは「絶対に」無いと言っていいでしょう。

僕は以前、盲導犬を使っている視覚障害の方とお話をする機会があり、その際に盲導犬のことをいろいろ聞くことが出来ました。実際に利用している方の話ですから、その意見は非常に貴重で重いものがあります。

まず、盲導犬は人に危害を加えることはありません。尻尾を踏まれても絶対に吼えたりしないように訓練されているそうです。また、彼らは人間の命令に絶対に従います。「ステイ(待て)」の命令を出したら、それが解除されるまで絶対にそこを動きません。たとえ、「餓死したとしても」、そこを動かないそうです。

でも、人間の言いなりかというと、それはそれで違うそうです。たとえば、信号が赤のとき。こんなときにいくら「行け、進め」と命令しても絶対に進みません。「ぶん殴って命令しても」進みません。自分で判断し、視覚障害者の方にとって危険だと察知したときには、その命令に反抗してでも視覚障害の方を守ります。

普通のペットではここまで訓練できません。ですから、盲導犬とペットの犬と同列に考えることが、そもそも間違っているのです。

ここまで訓練された盲導犬ですから、視覚障害の方にとって盲導犬は宝です。盲導犬視覚障害の方との信頼関係は絶対的なものです(逆にいえば、そうでなければ怖くて街なんか歩けないそうです)。

盲導犬はその性質上、どうしても大型犬を使わざるを得ません*2。犬嫌いの人にとって、それが嫌なのもわかります。でも、盲導犬は普通の犬とは違うのです。その辺、理解していただき、もっと盲導犬を連れた方が自由に行動できるようになってほしいものです。

蛇足ですが、犬好きの方、一生懸命働く盲導犬が可愛いのもわかりますが、声をかけたり触ったりするのは出来ればやめてあげてください。白いハーネスをつけているとき、彼らは仕事中なんですから。もちろん、なにか困っているようでしたら助けてあげてくださいね。

参考URL:財団法人 日本盲導犬協会

*1:そもそも、犬が汚くて人間は大丈夫という嗜好回路がおかしい。正直、何週間もクリーニングに出さないスーツやコートのほうがよっぽと衛生面で問題がありそうなのですが、それが原因で入店拒否されたなんて話は聞かないですね。少なくとも、僕は入店拒否されたことないですよ。コートなんてシーズン終わるまでクリーニング出さないのに(ぉぃぉぃ)。

*2:チワワ等の小型犬ですと、威圧感は無いので犬嫌いの人にも受け入れられやすいかもしれませんが、力が弱くて視覚障害の方を誘導できません。