プレーオフについて考える

終戦までもつれこんだパリーグプレーオフは、西武の勝利で幕を閉じました。

盛り上がったという点では大成功だったのかもしれませんが、西武が優勝したことにより「プレーオフによってレギュラーシーズンの価値が下がるのでは?」という懸念が現実のものとなりつつあります。

今のプレーオフ制度は、リーグで上位になったチームに対しほとんど何のアドバンテージも与えられないシステムになっています。一応、自分のホームで試合が出来るというのはアドバンテージなのかもしれませんが、野球はサッカーほどホームアドバンテージがありませんから、ホームでの試合というのはそんなに大きなアドバンテージではないです。

「真に強いチームはどこか?」を決定する方法として、リーグ戦を行うのが最も適した方法であることは疑いようがありません。確率論的に言えば、試行回数を増やせば増やすほど、現実の結果が期待値に近づいていきますから、試合数の多いシステムのほうがチームの実力が順位に正確に反映すると考えられます。

トーナメント制は、試合期間が限られていて、しかも沢山のチームの中から優勝チームを決定しなければならない場合に「仕方なく」用いられる方法だと僕は理解しています。プレーオフはトーナメントではありませんが、短期決戦で勝敗が決定されてしまうという点では似た所があります。

つまり、単純に「真に強いチームを決定する」ならば、リーグ戦を行うだけで十分なんです。プレーオフは「真に強いチームを決定する」方法として見るならば、リーグ戦に劣ると僕は考えています*1

正直な所、ホークスファンの心中は穏やかではないでしょう。「ペナントレースは何だったんだ?」、そう思ってしまっても不思議ではないです。しかも、「真の強さ」を正確に反映すると考えられるペナントレースの結果が、わずか5試合の短期決戦で覆されてしまった、ということも含めて考えると、ホークスファンの皆さんにかける言葉が見つかりません。

リーグを盛り上げる、という意味でプレーオフは素晴らしいシステムだと思います。一昨日も書きましたが、巨人戦を差し置いて*2、ゴールデンタイムの地上波放送をパリーグが勝ち取ったのは大殊勲です。また、リーグの最後の最後まで6チーム中4チームに「日本一」の可能性を残した*3という点でも大成功でした。

しかし、この結果を見てみると、リーグの上位チームにもう少しはっきりとしたアドバンテージを与えてもいいように思います。「ホームでの試合」だけでは不十分だと思います。上位チームに1勝分くらいアドバンテージを与えてもいいような気がします。

とにかく、西武優勝おめでとう!日本シリーズでは無念のダイエーの分まで戦ってください。気を抜いたプレーなんかしたら(しないと思いますが)、ホークスファンは納得しないと思いますよ。

(しかし・・・。プレーオフは短期決戦ならではの面白さを見せてくれたのも事実ですよね。超一流選手たちが限界まで集中力を高めてプレーする姿が見れるのは短期決戦ならでは。短期決戦はある意味理不尽なシステムなんですが、でも、それゆえの緊張感も捨てがたい・・・。正直、ちょっと複雑な心境・・・。)

*1:大リーグのプレーオフとは少し事情が違うことに注意してください。大リーグのプレーオフは「各地区の」首位(+ワイルドカード)が、その年の大リーグ優勝を争って戦う(ということになっている)ゲームです。つまり、ワイルドカードを除けば、プレーオフに出るためにはリーグ戦で地区1位にならなければならないわけです。日本のプレーオフは、同一リーグの半分が出場してしまうシステムになっています。そこに今回のような問題が生じる要因があるわけですね。

*2:まあ、巨人戦が完全な消化試合だったということもあるんでしょうけどね。

*3:取り残されてしまったのが合併二球団というのがなんとも象徴的でしたね・・・。