GDP算出方法変更

GDPの算出方法が変更になり、03年度の実質GDP成長率が2.0%に引き下げられたそうです。

GDP、成長率2.0%に下方修正 算出方法変更で朝日新聞

変更したのは、名目GDPから実質GDPを計算するときに用いる物価指数の算出方法です。GDPデフレーターが他の物価指数(消費者物価指数や企業物価指数)の動向と乖離していることは、以前から指摘されていました。具体的には、ほかの指数に比べデフレ傾向が強く出すぎているのではないか、という指摘です。

じゃあ、どれくらい乖離しているのか。ちょっと古い記事なのですが、こちらをご覧ください。

なるほど!経済 経済全体の物価動向示す GDPデフレーター(読売新聞)

この記事の中にグラフが出ているので見ていただきたいのですが、消費者物価指数が02年度あたりからデフレ解消の動きを見せているのに対し、GDPデフレーターは一貫して強いデフレ傾向を示す動きを見せています。明らかに、GDPデフレーターが他の指標の動向と乖離していることが分かります。

ただし、GDPデフレーター消費者物価指数、企業物価指数は計算方法が異なるので、必ずしもこの両者が一致するわけではないことは注意する必要があります。

で、今回の算出方法変更によって、このGDPデフレーターの乖離が解消されることになります。具体的にどのような影響が出るのかと言うと、実質GDPが以前の方法で算出した値よりも低くなります。非常に砕けた言い方をすると、これまでは「名目ではともかく実質値でみるとまあまあ景気がいいよね」という状況だったものが、「名目値で見ても実質値で見ても、やっぱりあんまり景気がよくないね」という状況に変更された、ということになるわけです。

まあ、個人的な印象からすると、今回改定された実質GDPの値のほうが今の経済の現状をよく表しているような気もします。昨年度の実質GDP成長率についても、3.2%と言う数字よりは2.0%と言う数字のほうが納得しやすい数字のように感じます。もちろん、マクロ経済の動向を個人的な感覚を元に語るのはきわめて不適切なことなのですが、でも、皆さんも同じような印象を受けません?

しかし、これにより日本経済の現状は、これまで考えられていたよりも若干悪い状況にある事になるわけで、いろいろな方面に影響が出るでしょう。最近、GDP成長率が予想よりも低かった、なんていうニュースも出てきている最中にこのような結果が出ると、心理的な悪影響が出そうですね。もちろん統計の算定方法を変えただけなので、それによって実体経済に影響が出るわけではないんですが、それにしてもあんまり気分がいいものではないのも事実だと思います。

まあ、統計の精度を高めることはきわめて大事なことなので、こんなことをいうのはいいことじゃないんですけどね。