ノートPCに求められるもの

ノートPCの売り上げに関する記事です。

[市況]ノートPC 売れ筋は「質実剛健」、華麗なAV機能より「手堅く、安く」(BCN)

最近のノートPCは高機能化が進んでいます。技術的な進歩がその主要因であることは確かなのですが、その一方で「メインPC」としてノートを選択する人々が増えていることも大きな要因だと思います。

現在、パソコンの売り場に行くと分かるのですが、デスクトップとノートの売り場比率は半々か、場合によってはノートのほうが多い場合もあります。かつて、ノートが持ち運び用のサブマシンと言う位置づけだった頃と較べるとずいぶん増えたなぁ、って感じを受けます(あくまで個人的な感想ですが)。

僕自身は自作派なので自宅のPCはデスクトップなのですが、友人などに聞いてみると、デスクトップPCは「場所をとる」という理由で敬遠されることが多いようです。特にワンルームに住む一人暮らしの場合、パソコンを置くためにスペースをとられることを嫌う傾向がはっきり見て取れます。

確かに、パソコンラックをおくとなると大体畳半畳くらいのスペースが必要となるわけで、これは6畳の部屋ですと部屋の10%近くがパソコンに占拠されるという事態になるわけです。ベッド(1畳半)、チェスト(物によりますが半畳くらい)など必要最低限の家具だけで部屋の約30%がすでに占有されていることを考えると、この半畳のスペースのロスはかなり深刻な問題となることが分かります。

よって、特に一人暮らしの場合、メインPCとしてノートを選択する誘引が強いことが想像できるわけです。この辺はメーカー各社も十分把握しているようで、それゆえに各社とも従来のノートPCにはなかったような多機能、高付加価値の機種をどんどん市場に投入してきています。

こうした機種の特徴としては、ノート本来の持ち運びの簡便さよりもメインPCとしての使用に耐えるような機能を盛り込むことが優先されているというところにあります。最近のノートって、でかくて重いのが多いですもんねぇ。A4ノートなどは、基本的に自宅や職場のデスクで使うことを想定して設計されているのだと思います。

しかし、この記事を見ると、こうしたメーカーの思惑とは裏腹に基本機能に絞ったPCが売れていることが分かります。

しかし、こうしたメーカーサイドの思惑と、ユーザーの評価には、予想外に大きなギャップがありそうだ。「BCNランキング」で売れ筋ベスト10を眺めてみると、華麗な付加機能よりも基本機能に徹した手頃な価格に人気が集まる傾向がみえてくる(表)。

で、記事ではユーザーは案外基本的な機能しか利用していないのではないか、との予測をしているわけですが、この辺をどう判断するか。

現在のノートPCの利用者が、DVD焼付けや動画処理、HDレコーダーのような使い方をしていないのは事実だと思います。この手の使い方をする人はおそらくPCにかなり詳しい層だと思われますが、こうした人々は同じ価格帯で比較した場合、デスクトップPCの方が安価で拡張性が高いことを知っています。また、PCが好きな人々ですからPCによって部屋が狭くなることもさほど気にしないでしょう。

ですから、現状で言えば、高機能PCに付加されているような機能を求める人々はノートPCではなくデスクトップを選択しており、ノートPCを購入するのは基本的にライトユーザーであるという状況になっているのではないでしょうか。それゆえ、高機能ノートがメーカーの思惑ほど販売が伸びず、基本機能に絞った機種が売れているのではないでしょうか。

ただ、この状況が今後も継続するかどうかは微妙なところです。現状では、ライトユーザーは高機能PCに付加されている機能がどのようなもので、どういった利便性があるのか十分理解していない可能性があります。この人々にこれら機能の利便性をきちんと伝えることが出来れば、場合によっては高機能ノートPCの販売が伸びることも考えられます。部屋のスペースが狭いという問題は今後も解消されることはないでしょうから、これらライトユーザーが高機能PCの利便性に目覚めれば、高機能の「ノート」を選択する可能性は十分にあると思います。

まあ、僕はデスクトップが好きなんで、ノートにはあまり興味ないんですけどね。