小論文自動採点システムで僕の文章を採点してもらう

昨日のエントリでご紹介した小論文自動採点システムですが、なんと、そのデモ版がネット上に公開されていました!

これです。
http://coca.rd.dnc.ac.jp/jess/

いくつかの例題と、それに対する解答があらかじめ入力されており、実行ボタンを押すと評価が出ると言う仕組みになっているみたいです。

で、自分で書いた文章も採点してくれるみたいだったので、早速僕の文章を採点してもらうことにしました。

お題はデモのお題をそのまま利用。こんな感じ。

人生において我々はしばしば自分がしたいことと、自分がすべきだと感じることと、どちらを選んだらよいかに悩む場合がある。

自分がすべきだと感じることより自分がしたいことを優先させることがその人にとって良い場合があるとしたら、それはどのような場合だと思うか?あなた自身の経験、あるいはあなたが見聞したことから、その事例を挙げて、あなたの考えを述べなさい。

で、僕が書いた解答ですが、こんな感じです。長いですが全文掲載!(ちょっと恥ずかしいですが)。

自らの前にAとBという二つの選択肢があり、Aが「自分がしたいこと」であると感じ、Bを「自分がすべきである」と感じた場合、Bを選択することがその人にとってよい結果をもたらすと考えるのが普通であろう。なぜなら、「すべきこと」とは、たとえそれが苦痛に満ちた選択であったとしても、「それをすることが本人の利益となる」か、あるいは「自分以外の他者にとって大きな利益をもたらす」事である、ということが暗黙のうちに了解されているからである。だからこそ、我々は「自分がしたいこと」よりも「自分がすべきこと」を優先させるべきであると考えるのである。

しかし、厳密にいえば、「自分がすべきこと」が本人の利益となる保証はどこにもない。先ほどのAとBの選択肢のうち、本当にBが自分の利益となるかどうかはわからないのである。ある選択肢を「自分がすべきだと感じる」のは、その人がこれまでの人生の中で培ってきた価値判断の基準に基づいて判断したものであり、それがその人の成功を保証するとは限らない。

私は以前、こんな経験をしたことがある。かつて私には思いを寄せた女性がいた。私は、「男は女性に頼られるべきであり、また、その女性に最大限の助力をすべきである」と考え、彼女に頼られるべく様々な努力をしてきた。本来、私は女性に依存するタイプの人間であり、出来ることなら女性に甘えていたいと考える人間である。しかし、先ほど述べたような考えから、こうした甘えを極力抑え、彼女に出来るだけ尽くすようにしてきた。

ある日、私は彼女に自らの思いを告げた。「私と付き合って欲しい。私はあなたに頼られるような男になりたい。」。彼女の返事はこうだった。「私ってそんなに頼りない女なの?私はいつも自立した女性になりたいと考えているのに、なぜあなたはそんなことを言うの?」。私の思いはその女性には届かなかった。

私が振られた原因は明白である。私の「女性にはこのように接するべきである」と言う価値判断基準が、少なくとも彼女にとっては不適切なものだったのである。むしろ、私は本来の自分をさらけ出し、「自分がしたいように」彼女に甘えるような姿勢も見せれば、もう少しましな結末が訪れたのかもしれない。

○○をすべきであると、自らに義務を負わせ、万難を排してその義務の達成にまい進する姿は確かに美しい。しかし、その価値判断基準が間違っていた場合、「すべきである」という価値基準に従った行動は、本人だけではなく他者にも不幸をもたらすことがあるのである。

そうであるならば、「自らがすべきであると考える」ことを優先させることは必ずしも道義的、倫理的に優れたものであるとは言えないのではないか。もちろん、明らかに優先すべき事柄を後回しにし、自らが望む道のみを選択することは誉められたことではない。しかし、自らの価値判断を疑い、むしろ自らが本当にしたいと望むことにチャレンジすることも時には必要なのではないか。

その人が本当に信念を持って「自らがしたいことをする」のであれば、それは非難にはあたらないと思われるし、そうすることが本人のためなることもあるのである。

30分くらいかけて書きました(仕事しろよ)。で、早速評価してもらいました。出た評価はこんな感じ。

修辞 2.2 ( 5 )
長すぎる文があります。

句の中の文節の数が多すぎる文があります。

漢字の使用がやや少ないように見受けられます。

埋め込み文が全体の分量に比べて多いように見受けられます。

連用形や接続助詞の句の並びの多い文が、ややあるように見受けられます。

語彙の多様性が不足しています。

長くて難しい語が少ないように見受けられます。

論理 2.0 ( 2 )
内容 2.8 ( 3 )
分量過少による減点 0

最終得点 7.0 ( 10 )

10点満点中、7点でした。論理と内容についてはほぼ満点。まあ、こちとら毎日論文書いている院生ですからね。この辺で減点されたらしゃれになりません。当然の結果と言えるでしょう(ちょっと威張ってみましたよ。えっへん!)。

が。

何でしょう。この修辞の点の低さは!5点中、2.2点ってあんた・・・。

まあ、減点対象になった部分については納得できるところも多いです。特に、語彙が少ないとか、文節が多いなんていうのは僕も普段気にしているところですし。漢字が少ないっていうのも、まあ少なすぎたかなぁって印象ではあります。

しかし、唯一納得できない項目があります。それはこれ。

長くて難しい語が少ないように見受けられます。

難しい言葉をいっぱい使えばいいってもんじゃないと思うんですけれど、どうなんですか?僕は出来るだけわかりやすい文章を書くように心がけているんですが、そういうのってまずいんですかね。まあ、試験だからしょうがないんでしょうかね。

まぁ、僕の文章の評価はともかく、このように評価システムを公にして一般の人にも試せるようにしているっていう点では好感が持てます。きっと、いいシステムになるんじゃないかな、なんて思いました。