車が空を飛ぶ、あるいは飛行機が地上を走る

 ボーイング社で空を飛ぶ車を開発しているそうです。

「飛ぶクルマ」開発中!ボーイング社が模型公表(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040828-00000003-yom-int

 まぁ、この手のものはよく話題に上りますね。実験的に製作してみることはよくあります。たいてい、お笑いのネタを提供して終わるのですが。

 しかし、今回の空飛ぶ車に関しては、ボーイング側はそういうお笑いネタで済ませるつもりはなく、遠い将来の実用化を目指して結構本気で開発を進めている、という印象を受けます。なぜ、僕がそう思ったのかというと、

 AP通信によると同社は、実用化された場合の交通整理(管制)や違反の取り締まり方などについても検討を始めているという。

このように、実用化されたときに起こるであろうさまざまな問題にどう対応するか、それについても考え始めているんですね。

 車が空を飛んだときに起こりうる問題として、航空管制をどうするかという問題があります。記事には「空を飛べば渋滞解消!」なんてことが書いてありますが、実際にはそう簡単な話ではないです。ご存知の通り、今空を飛んでいる飛行機は、法律に基づく厳格なルールの下、航空管制官の指示に従って飛行しています。車が空を飛ぶようになれば、空飛ぶ車をどう航空管制するのかが問題となります。

 正直、今のような人力に頼った航空管制は不可能になるのではないでしょうか?東京周辺の空は、今でもほぼ満杯状態で、航空管制官の方々が必死になって交通整理している状態です。ここに、空飛ぶ車が大挙してやってきたら、おそらく管制不可能になるでしょう。よって、なにか別の管制方法を考えなければなりません。

 また、事故防止も重要になります。いくら小型であるとはいえ、航空機が住宅街に落ちればその被害は甚大です。それをどのように防ぐのか。

 さらに、記事にもありますが、航空法を守らない航空機(自動車?)に対して、どのような取締りを行うか。これもきわめて重要な問題です。
 
 もし、空飛ぶ車が誰にでも手に入るようになった場合、車のドリフト族ならぬアクロバット族が絶対に出てきます(断言できます)。さらに、チームなんか作っちゃって「ブルーインパルス」もどきの飛行を行う連中が必ず出現します。「おい、みたかよ。今の完璧なデルタループ、ファンブレイク・・・。さすが赤城レッドサンズだぜ・・・」。そういうことする連中が絶対出てくるんです!!うわー、楽しそう!!(おい。

 冗談はともかく。

 こういう人たちをどう取り締まるのか、これも問題になります。飛行機は空中で止まれませんから、今の白バイみたいに「はい路肩に停車して〜」なんてことはできません。かといって、まさか撃墜するわけにもいかないでしょう。このへん、どう対処していくのか。

 空をとぶ自動車は技術的にはそう難しくないと思います。ただ、それを実用化し、商品として販売するには解決しなければならない問題がたくさんあります。技術的な問題だけではなく、実用化に向けたさまざまな問題も含めて検討しているこのプロジェクト。空飛ぶ車がすぐに実現するとは思いませんが、ボーイング社の本気度は比較的高いような気がします。