中国は今どうなっているのか

目隠しですか。

中国、各メディア独自の報道を禁止 各地の衝突、ストで産経新聞

報道が規制されている以上、現在各地で起きているとされる地方当局との衝突やストがどの程度の規模のものなのかよく判らないんですが、近年の急速な経済成長で国際的に注目されている中、このような報道規制を行っていることを考えると結構深刻な事態になっているのでしょうか。

中国の国内問題に関する話題で、僕が最初に「あれ?」という違和感を感じたのがこのニュースでした。

中国・重慶で暴動、市民らが政府庁舎取り囲む世界日報

市民数万人が暴動を起こしたというニュースなのですが、この記事を見たとき、中国のことだから「白髪三千丈」で話が大きくなっているんだろうと思う反面、「ひょっとして・・・」という疑念もぬぐいきれませんでした。

あまりに大きな貧富の差が国内に存在する場合、このような暴動に発展することは十分に考えられることです。貧富の差ということで言えば、おそらく中国は世界で最も貧富の差が大きい国でしょうから、こうした暴動の火種は沿岸部の発展と共にくすぶりつづけていたといえるかもしれません。

ただ、単純に貧富の差があるだけなら暴動にならない可能性もあります。しかし、中国の貧富の差というのは、単に所得格差が大きいというだけの問題ではないようです。

以前、僕が非常勤で働いていた専門学校は中国人留学生が非常に多い学校だったので、授業中や休み時間に彼らと話をする機会がありました。あるとき、授業中に日本の介護問題に関する話をしました。「中国ではどうなんでしょう?やはり家族に負担が掛かるのかな?」という話をすると、上海から来た留学生が。

「上海では、住み込みのヘルパーさんを雇うから大丈夫ですよ。都市部には農村から文字も読めないような人がいっぱい来ていますから、凄く安く雇えるんですよ。だから、少しお金もっている人はみんな家事なんてしません*1。」

この話を聞いたとき、背筋が寒くなりましたね。貧富の差だけではなく、教育水準にもかなりの差があるみたいです。文字も読めないような教育レベルの人は都市に流入してきてもまともな職はないでしょう。「都会で一旗挙げて金持ちになる!」と夢を持って出てきたところで、奴隷一歩手前の低賃金労働をするしかないわけです。

一方、都市で成功した人はブランド品に身を包み、外国製の車や家電製品に囲まれて先進国同様の生活を享受しています。無論、中国の富裕層はかつて「働き蜂」といわれた日本人以上に努力しているわけですから、豊かであることが悪いことだとは思いません。しかし、先の話に出てきた、字も読めないような人々は、死ぬほど努力したところで、果たしてどれだけの地位を得ることか出来るのか。恐らく、さほど豊かにはなれないでしょう。農村部で生活している人々は特にそうです。

つまり、中国の貧富の差とは、教育レベルなども含め「絶対に覆すことの出来ない」差であるといえるでしょう。

どんなに努力しても埋まらないほどの貧富の差が国内でついてしまった場合、暴動という暴力に訴える可能性は十分にあるわけで、その点現在の中国が内乱寸前の状態にあると言われれば、「まぁそうだろうなぁ」って言う印象しか出てこないわけです。

しかし、その一方で中国政府の統制というか、強制の強さはかつての天安門事件で実証済みでもあります。ですから、今回の暴動も最終的には軍隊を出動させて鎮圧、と言うことも考えられるので、この騒ぎがすぐに中国の政治や経済に影響するとは思えません。思えないんですが・・・。このままで大丈夫なんだろうか、って言う心配もあります。

貧富の差の是正は中国が抱える大きな問題の一つだと思いますが、個人的には中国の貧富の差はもはや決して埋まることはない水準まで来てしまっているのではないだろうか、と思っています。正直な所、中国とは同じ国に先進国と発展途上国が同居しているようなものです。まあ、沿岸部を経済特区として重点的に開発したわけですから、当然といえば当然なんですけどね。

結局のところ、どれくらいの規模の暴動が発生しているのか、そのあたりが問題になるかと思います。しかし、報道が規制されている以上、我々は何が起こっているのか知ることは出来ないのです。

*1:まあ、この話は一人の留学生から聞いた話なので、これをもって中国の一般的な現状を推測するのは極めて危険なんですけどね。ただ、こういう状況も存在しているというのも事実みたいです。